本書の帯に、
「帰れる家がありますか?」
家族だから見えること、家事だから見えないこと。
日常生活の中で、誰もが持っている弱さや狡さ、
そして優しさを描く、
とあった。
8編の家族ドラマが書かれている。
わたしはこの中で、「父の遺言」が一番気に入った。
父子家庭で育ち、少なくとも仲の良い父娘では無かったが、
亡くなってはじめて父の愛に気づく、というドラマ。
8編とも、平凡な、どこにでも存在するような家族ばかりのようだ。
著者はきっと人生をよく観察し、人間が好きな男性(ひと)なのだ。
そうでなければ、心の中まで書けないよ・・とおもう。