「気に入った 湯呑みなので 直せない?」などと 聞かれる。
「突然 予期せぬ失敗から、愛着のある品との別れ」という不幸に出会うことがある。
ずいぶんと昔のこと、韓国語の先生から、ソウルの女子大生のホームステイを頼まれた(夏の講習中の3週間)。
もちろんボランテイアだ。
その子の親が、わたしが陶器好き と知っていて、手土産にと、青磁の鶴首の花器を持ってきてくれた。
わたしの好みであり、部屋に飾っていた。
ある日、窓を開けたらカーテンが風に揺れて、花びんに当たり落下した。
少し欠けたのが あまりに残念だった。
どうにか自分で直したい と思ったのが、金継ぎ(金繕い)のきっかけ。
その頃は英国の「修復家養成学校」へ行きたいが夢だった。
夢は破れたが、あれから 20年近く、
ほとんど 自分のものを直して、金継ぎを楽しんでいる。