植田康夫・著『本は世につれ』・・ベストセラーはこうして生まれた・・水曜社・刊
ベストセラーで思い出すのは、原田康子著『挽歌』。
わたしが高校三年生のときだった。友人の家で遊んでいたら、本好きのお母さんが「Tさん 挽歌読んだの?あなただったら もう読んでるかと思って・・」と言われた。
まだだったので すぐに買った。
北海道の釧路に住む兵藤令子という少女が、建築家の桂木と知り合う。桂木夫人の不貞を嗅ぎ取ることで、桂木との関係を深めるというストーリー。
大人の女性の 内側の心理を理解していたかどうかは別として、ロマンチックであり夢中になった。
50年近くも経た今も、兵藤令子はわたしの中で理想の女性のひとり。 それ以来、原田康子著の本はほとんど読んでいる。
『挽歌』は作者も無名で、版元も東都書房という無名の出版社であったのに、よく売れたとか。
『本は世につれ』。本書を読みながら、このようにしてベストセラーも、時代によって生まれ方も変わってくるのかと面白かった。
【写真】植田康夫・著『本は世につれ』・・ベストセラーはこうして生まれた・・水曜社・刊。2009.3.3.初版第1刷。@1600e