山本一力・著『いかだ満月』 2008年 角川春樹事務所・刊。
人の生き方も面白かったが、この本に描かれた時代(1832年ごろ)の、今の時代に生きているのが見られ、ひとつひとつ覚えられた。
峰の杉は 木がこわい(硬い)。
中腹の杉は 木も手ごろ。
谷の杉は 木がやわらかい。
目利きのできる者は、このように杉の育った場所によって、材を選ぶ。
山の高きに育った杉は、さえぎるものの無い陽光をいっぱいに浴びている。
いわば、野放図に育ったので、枝も好き放題に伸びている。
柱や板にしたとき、枝は節になる。
節になると柾目を汚す。曲がりを生じたりもする。
人間も杉も、苦労知らずに育つのはよくない、ということでしょうか・・。
また、適材適所という熟語がある。
木も人も 充分に能力を発揮できるように、ということか。
この本を 読みながら思った。
【写真】山本一力・著『いかだ満月』 角川春樹事務所・刊。 2008.9.8.第一刷発行。@1600E。