「満開の夜桜」の図柄の表紙を見たとき、
映画「細雪」の世界が浮かんで、女優・岸 恵子が演ずる、
華やかな場面がいくつも思い出された。
鳥越 碧(とりごえ みどり)著『 花 筏 (はないかだ)』講談社刊
本書は谷崎潤一郎の名作の数々で モデルになった、
松子という女性を想い、創作した小説。
世間であこがれの的であった松子。美しく聡明であった松子。
著者は松子という女性が、ほんとうに幸せであったか、
疑問に思い追求して描かれたもの。
このような世界(潤一郎と松子の世界)は、
わたしには無縁の生活なので・・・、
否、だから興味深く読めたのかもしれない。
長編で 何日もかけて読んだ。
谷崎潤一郎は、生け花を活ける女性にこころ奪われたり、
半衿に日本刺繍する女性の指先を見つめるような、
敏感な男性であったとか。 さすが小説家だ、と感心した。
題名も 花の名前「花筏」と 美しい。
花筏は 確か 6月ごろ 咲く。