植松三十里(うえまつ みどり)・著
『 調印の階段 』 PHP研究所・刊
植松三十里・著 『 おばさん四十八歳 小説家になりました 』の中で、これから書くと紹介されていた本。
日本史上で最も不名誉な”仕事”を買って出た男の、
重光葵(しげみつ まもる)(外交官)のことを小説にした本。
わたしは重光葵という男性(明治16年生れ)を知らなかった。
本書を読みながら
日本にもこんなすごい方がおられたと何度も尊敬した。
敗戦後の外務大臣としてGHQと向き合い、
占領軍の軍政を排し、国体を護持できるとの草案を導き出す。
マッカーサーは降伏文書調印の際、重光氏のことを
「こんな切れ者の外務大臣を相手にしようとは予想もしなかった」と言ったとか。
上海勤務の時期に片脚を失い、悶々と日々を送っていたとき、
支えたのは生まれたばかりの娘と亡き母という。
こんなに強い人にも、やはり支えたのは家族だった。
色褪せた久留米絣(かすり)の着物を着たお母さんが生きがいだったのですネ。
本書を読み終えて重光葵のことをもっと知りたいと思った。
また昭和史を勉強せねばと思い、取りあえず中公新書 渡辺行男著『 重光葵 上海事変から国連加盟 』を Amazonで注文した。
【写真】植松三十里・著『 調印の階段 』PHP研究所・刊
2012年8月22日 第1刷第1版発行 @1900e