85歳になる裏千家大宗匠が韓国の中央大学校で、論文「茶道の精神」で文学博士号を取得したという。(日本経済新聞10月12日付け)
「前向き、前向きがモットーだ」とは言え、驚きだ。
何年も前、親しい韓国人で友人のソウルの家に泊めてもらった。
そのときその知人が、茶道のおけいこを始めたことを知った。
その時まで韓国では「茶道」という文化はないと思っていた。
翌日 おけいこ日に連れて行ってもらった。
抹茶のお点前をするとき、立て膝をしているのにはどうしてもなじめない。
(韓国では正座するときの、正式の作法なのだが・・)
これが異文化というものか、と感じ入った。
また民族は違っても類似点も多い。
それを見つけることはおもしろいことだ。
わたしが韓国に興味をもつ理由のひとつ。
裏千家大宗匠の記事を読み、なつかしく想い出した。
芸術の秋。
岐阜県のギャラリー風庵で、知人が「つるアート展」を開いているので拝見する。
(10月10日~10月20日まで)
あけび、つづらふじ、へくそかずら、つるうめもどきなどの素材を使って編んだもの。
リース、かご、丸皿、豪快な盛り皿、あかり、花入れなど。
自然の恵みを生かした、数多くの作品が展示されてあった。
岐阜県美濃市うだつの上がる町並みで「美濃和紙あかりアート展」が、10月11日(土)12日(日)、開かれている。
ことし第15回。 わたしは昨年につづき2回目。
会場まで家から車で40~50分くらい。
午後5時半に、カウントダウンして、作品に灯かりが点く。
今年もいくつか印象に残る作品があった。
思いがけない発想の作品などもあり、ひとつひとつ楽しく見させてもらった。
何ヶ所かで街角コンサートもあり、アート展は盛り上がっていた。
一緒に行った家族も大喜びだった。
食卓の上で映える醤油差しは なかなかよいものが見つからない。
自分でも陶器で作ったりしたが、
裏もりしたり いまいちだ。
今回の旅先(金沢・兼六城下町)で、
九谷焼のかわいいの見つけたので、2個買った。
ふたのほうに工夫が見られ、裏もりが無く、デザインもよい。
やっと「食卓のアクセント」が手に入った。
飛騨古川、起し太鼓の里・まつり会館のまつり広場。
大きな人工の池にコイがいる。
人の気配で コイが寄ってくる。
体長30~40センチくらいの大きなコイが、何十匹も集まる。
「太って 人間で言えばメタボ!だネ」という声も聞こえてきた。
わたしの実家でもコイを飼っていた。
病気に弱く、今ほどよいクスリもなかったのか、
よく死んで見つかった・・。
飛騨古川のコイはみんな元気だ。
緑の森林・山の水が 何よりの いのちのクスリなのか。
石川県立美術館リニューアルオープン記念「法隆寺の名宝と 聖徳太子の文化財展」を見た。
玉虫の厨子など、国宝3点、重要文化財53点もいれて111点もの日本美術が一堂に展示されていた。
「国宝・玉虫厨子」は、千三百余年も経たものとは思われないほど。
その細工は巧妙で 見ごたえがあった。
奈良から6時間かけて運んだ。
木製なので少しの温湿度差でも狂いが出て、組み立てができなくなる可能性があり、
金沢に届いてからも二日間寝かせてから、荷をほどいた。
専門家の知恵と工夫があったとはいえ、「大切な、大切な国宝の数々に、いかに神経を使ったか」と。
館長さんのお話は興味深いものがあった。
念願の石川県立美術館へ行ってきた。
ここの所蔵品には「色絵雉香炉(国宝)」と「色絵雉香炉(雌・重要文化財)」がある。
これ見るのが永年の夢だった。
いずれも300余年前、色絵京焼きの陶工で大家となった野々村仁清の作のもの。
一対の香炉が 別々の場所で家宝として大切にされていたのだが、ご寄付により(平成13年)この美術館でふたたび出会い、所蔵されている。
実物は 想像していたより大きかった。
野々村仁清のつくりものには、
気品があり 両方とも とても輝いていた。
炉の裏のほうが少し汚れて見えるのは、加賀の殿様前田家が、
この香炉を焚き客人をもてなしていたから、という。
今回は たっぷり見て大満足。
【写真】石川県立美術館入館券図柄より
野々村仁清・作「色絵雉香炉(国宝)」の図柄
金沢といえば近江町市場。
インターネットであらかじめ調べておいた「井ノ弥」で夕食。
「活きのいい魚と 旬の味! おちょぼ口が よく似合う」
これがキャッチフレーズの店。
勤め帰りのひと、旅の女性グループ、・・活気がある。
店内には有名人の色紙がいっぱい。「加山雄三」もあった。
さすが 新鮮なさしみがおいしかった!!
井波の町をぶらついていると、
池波正太郎ふれあい館を見つけた。
「鬼平犯科帳」「剣客商売」など時代小説家である。
わたしはそれよりも池波氏のもうひとつの顔:食い道楽としてのエッセイをよく読んでいたので、ぜひ見てみたいと思った。
時代小説の中での、食べ物の話しは、季節の移り変わりや生活とか言動がはっきりとよく分かる。
著作本や池波氏愛用の品々(着物、帽子、ぞうりなど)が展示してあった。
きれいで、しっとりと落ち着き、作家として品の良い生活ぶりが見られた。
【写真中】池波正太郎・著『食卓のつぶやき』朝日新聞社・発行
1984.10.30.第一刷発行 @1000.- 初出:「週刊朝日」連載
1989.4. (朝日文庫)文庫本化 @546E
2008.4.4. (朝日文庫)新装版・文庫本化 @693E
富山県南砺市に 日本一の木彫りの里・井波町がある。
以前から「一度行きたい」と思っていた。
家から東海北陸自動車道経由、3時間足らずで到着。
井波の彫刻は600余年の歴史がある。
楠、欅、桐や屋久杉など天然木を材料に、
欄間や衝立、獅子頭などなど さまざまに木彫りする。
荒削りから仕上げまでいろいろなノミを使う「技」を、
目の前で実際に見られる。
このごろの家は二部屋つづきの日本間も少なく、
“欄間”も知らない人がいるという。
これは 日本独特の文化だと思う・・。