サクラと言えば「ソメイヨシノ」。
江戸後期に下町・染井に生まれた「ソメイヨシノ」は園芸品種。
オオシマサクラとエドヒガンの一代交配種。
開国機運、維新・文明開化、お花見風俗の上昇気流に乗って、あれよ あれよのうちに「花見」「サクラ前線」の代名詞に上り詰めた。ウメ(梅)、キク(菊)をさておいて、「国の花」並みの特別待遇。
花に実は付くが、実生はむつかしい。
もっぱら接木、挿し木で苗木の大量生産がなり、日本中に広まった。つまりはクローン種だから、地温気温、湿り気など条件が整ったとき、どの木もいっせいに開花する。
これぞ クローン種の真骨頂。
江戸後期。 出島で作った人工島・・吉原。
中州ふうに回廊を盛り土して、人の往来を誘導し、規制した知恵者は、盛りり土を固めた堤防を より強固にするため、ソメイヨシノを植樹する。
「お花見」を はやしたてて、人を呼び寄せる。
人出の足の裏で踏み固めさせ 土木工事を完成した。
花見の足裏固めは、諸国の治水・堤防工事の裏技として普及し、河川改修したら、競って ソメイヨシノを植える。
工事の仕上げは「花見の賑わい、お足の裏」が、この国の治水工事の定番となった。
ソメイヨシノも 樹齢60~80年で寿命、といわれる。
幹も根も空洞化して朽ちる(芯材腐朽)。上品な花だが、足腰は弱い。
幹が朽ちて消える頃、土中の根っこも土に還る。
踏み固められた土中で、空洞をつくるから、
河川管理者は堤防強度の維持対策を手抜きしないように。
見た目に強固な堤防も ひとたび増水したら 水のチカラで崩壊する。