東尾張~東濃~西三河の里山に拡がる”夏場の紅葉”。
「ナラ枯れ」と言われるキクイムシ被害。
枯らしているのは「カシノナガ キクイムシ(カシナガ)」
体長 数㍉のキクイムシが、
ナラ菌という病原菌を運び、
元気な樹木に孔をあけて入り込み、菌を繁殖させる。
カシナガは その菌の酵母を食べて自給自足するらしい。
高温の入梅~梅雨明け時の、風に乗って飛び出して、
数百㍍~数㌔ほども先の、元気なコナラ・クヌギの樹へ。
丈夫なくちばしで、表皮から穴掘りして、
芯材近くで卵を産み付ける。
孵化した幼虫は やがて羽化して、親のお手伝いをする。
縦横にトンネル網を張り巡らして、家族を増やす。
表皮のすぐ下の導管(幹の水を送るところ)の破壊がすすむと、樹木は水不足で立ち枯れとなる。
カシナガ・キクイムシの繁殖が激しい梅雨明け時に、立ち枯れするものが続出して、まるで”夏場の紅葉”となる。
中央自動車道、東海環状自動車道から見える里山にも、このごろめっきり被害の山が増えてきた。
冬場の穴掘りは苦手のようで、冬を越した家族は、翌年の梅雨時に、新しい樹木を求めて飛び出し旅をする。
【写真上】カシノナガキクイムシの成虫標本。出典:三重県樹木家会サイトから
【写真中】キクイムシに穿孔された立木断面図。出典:同上。
【写真下】ナラ枯れの被害拡がる。東海環状自動車道下り線 せと品野IC附近。