通りがかりに「白川公園」(名古屋市中区)を歩いた。
陽射しはあるが 冷たい北風が流れる。
ひょっとしたら 東京・日比谷公園のように、
“派遣テント村”になってはいないだろうか。
この冷たさに こたえられるだろうか。
64年前 戦争で、叩きのめされ 焼き尽くされた。
負けたあと、見渡す限り焼け野原の ど真ん中に、
一夜城で現れた駐屯テント村。 進駐軍のキャンプ地。
おびただしい数の軽装甲車やジープが 周辺にずらりと待機し、
「星条旗」が 高くひるがえる。
広大で 豊富な 資源国、勝利者の象徴。
あれは戦勝国の香りか。 なぜか華やかさを感じた日々。
サンフランシスコ平和条約締結後、敗戦国へ返還。
広域避難場所として開放され、植樹された。
くすのき・ケヤキが復興の息吹を吸って 枝を張った。
小枝・こずえは、天空をフタする、復興・高度成長の象徴。
焼夷弾の炎に消された人の姿はない。テント村もない。
こぎれいに整えられた公園の空間は おだやかだった。
毎年 芽吹き、葉を繁らせ、秋には色付いて、葉を落とす。
「生き続けよ」と託されて、寒空の下、高木・ケヤキの樹幹。
「春の来ない冬はない」と ふんばる姿が たのもしい。