アーカイブ: 2013年5月17日

5月16日 愛国心

パーマリンク 2013/05/17 09:58:24 著者: y-ishida2 メール

喉元過ぎれば熱さ忘れるーいろはかるただ。あの大東亜戦争の過ちと教訓も70年近くたつと日本人はそろそろ忘れかけたという事か。
「維新の会」橋下大阪市長が慰安婦のことを認めるような発言し、石原慎太郎衆議院議員もその意見をフォロー、内外のマスコミの話題をさらった。発言の本質は戦前の日本の体質をどう考えるかという事である。
 少し前になるが、鳩山由紀夫さんが中国を訪問「尖閣諸島は日中の係争地だ」という発言に対し、小野寺防衛大臣が「鳩山さんは国賊だ」と言った。
安倍内閣はアベノミクスやTPPという経済では新自由主義に前のめりする反面、実は歴史を逆戻しするような動きも顕著だ。憲法問題に絡めて、自衛隊を軍隊にするという考えや、教育観も道徳を強制しようとするなど明らかに戦前に戻したがっている。私は、防衛大臣の使った「国賊」という言葉に象徴的な流れを感じ、大きな驚きと不安を禁じ得ない。
多少過去の人物になるかもしれないが、戦前戦後にかけて大きな影響力を持った社会学者清水幾太郎著の「愛国心」を今一度読んでみた。清水はトルストイの言葉を引きながら、愛国心は戦争につながると警鐘を鳴らす。愛国心は呪詛(まじない)であるともいう。愛国心は無頼漢の最後の避難所であるともいう。暴力団、博徒、反社会的集団は愛国心の看板を掲げる。そして戦前は「国賊」とか「非国民」という魔女狩りによって自分たちの同胞をも偏見と恐怖と暴力によって傷つけていった。要するに、愛国心という言葉は、民主主義の人権思想である平等や他民族への寛容さと共生しないと危険だ。私には戦前のわが国と今の北朝鮮が多少ダブってしょうがないのだが・・・・
先般中国で、日本の企業を襲い、車を破壊した中国人は「愛国」を叫んでいた。日本人にとって最高の愛国者は靖国神社に祀られた兵士たちであろう。しかし彼らは、中国や朝鮮で戦闘し殺戮したことも歴史の事実だ。みんなそれぞれの国では愛国者なのだ。愛国心という言葉は呪詛なのだ。簡単に使ってはならない言葉なのだ。だから私は、小野寺防衛大臣が鳩山さんのことを「国賊」といったことを簡単に見過ごす事は出来ない。戦前の日本と一緒ではないか。
この67年間、敗戦の教訓を生かし、世界の国々と協調し、民主主義を学ぶための日本人の努力はなんであったのか。
喉元過ぎれば熱さ忘れる。

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