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刈谷 万燈(まんど)祭

刈谷 万燈(まんど)祭

パーマリンク 2014/08/18 11:24:45 著者: y-ishida2 メール

私は愛知県議会議員を12年務めたし、知事選挙も経験したから、県内の自治体は大抵一つのイメージは持つことができる。正直刈谷市には、財政が強く、トヨタ系の製造業を中心にした2次産業の町というイメージしかもっていなかった。
自治体が工場を誘致することは固定資産税が増え雇用が確保できるので、積極的に推進したい政策だ。ところが、製造業の工場が増えると、一方町は人の結びつきが薄れ、何となく無機質になり面白味を失う。刈谷市は、典型的な面白味を失った工業の町だと万(まん)燈(ど)祭を見るまで思っていた。
ところがこの万燈祭を見て、私の刈谷に抱くイメージは一変した。
話は逸れるが、東京に住む人の半分は仏壇が無いという話を聞いたが、仏壇がなければ仏間もなし、先祖の位牌や思い出を語る写真などもないであろう。その家の由来を知ることが出来ぬ。自治体のホームページもそうだ。その町の歴史や、過去の由来などその町の履歴を詳しく書かない自治体が多い。現在の行政サービスや財政状況や医療・福祉・教育などのマニュアル化された数値の記載だけではその町に特別の関心を寄せることは難しい。 その点で、刈谷市のHPはなかなか出来が良いし、杉浦世志朗さんは観光協会の会長としてふさわしい積極的な方だった。
万燈祭は秋葉社の祭だ。1756年秋葉社の前身秋葉堂で火伏せの神信仰が行われたという記載を嚆矢とする。火伏せとは火難防除であろう。1852年雨乞い祈願に万燈が登場する。念のために万燈とは仏前にともす灯火のことである。火避けが雨乞いになったところが面白い。現在は10数基の、高さ5m幅3mの歌舞伎や武者をかたどった大万燈を竹と和紙の張子人形で造る。60Kぐらいあるらしいが若い衆が1人で担ぎ、周りを50人くらいの人たちで囃子に合わせ盛り上げる。「天下の奇祭」というキャッチフレーズがついている。氏子の7町内の他に、刈谷はトヨタ自動車の町であるので、本社があるデンソーが全面的にバックアップ、会社から大万燈を出す。デンソーの若い社員は地元の若い衆に比べ何となく品が良い。やはり、会社の体面を気にするのかもしれない。祭を盛り上げる若い衆は多少ヤンキーな兄ちゃんのほうが実は似合う。それと、根本的には祭は共同体、会社は利益追求の組織体の違いがある。社会学で言う、ゲゼルシャフトとゲマインシャフトの違いだ。しかし、祭りを運営する側に立つとトヨタの応援は財政的に大変プラスで有りがたいという。そうだろう。
この祭を面白いと思ったのは、祭の主旨が雨乞いにあることだ。旱魃は農村地帯では致命傷だったのだろう。今の時代非科学的だと笑う前に、稲作が日本の農業の原点だったことを考えると、この祈りの意味が肯ける。
祭は科学万能に対しアンチテーゼとなる。

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