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内閣改造

パーマリンク 2014/09/09 16:03:14 著者: y-ishida2 メール

 安倍政権が内閣改造を行った。
 メディアは例によって2日間ほど大騒ぎだ。正論を吐く人もないことはなかったが、論調は概ね人事に関する世間話の次元を出るものではなかった。
 私は、公的世界で長年仕事をし、絶えずポストは同じ人物に少なくとも4年間は固定すべしと言い続けてきた。自治体でも議会の議長をはじめ、各委員長は1年交代。役所の人事もしょっちゅう異動する。議員も職員も本物の専門家が育たない。
 職人の世界で、一生一つの物を作るだけで終わる人生、範囲を限定し、狭いが深い生き方には一種のあこがれに近い情感を抱く。

 大臣だって1年や2年で変わっては仕事が深まるわけがない。有能な人物でも、1年や2年では自分のカラーを出すことはほとんど不可能に思う。全ての仕事は個性と結びついてこそ意味があると考える。従って、どうしても官僚機構の主導になり、選挙を経た主権者の代表こそが公共政策をリードするという民主主義が空洞化される。
そんなことは分かっているのに止められないのは何故か。私の経験を振り返り率直に吐露してみる。

 そもそも政治家になるような人物はポストや肩書に対する執着心の強いタイプである。丁度経済人として成功する人物が金銭欲、物欲が強いのと同じことだ。そういったモチベーションがなければ、立候補もしないし、会社経営もできない。
「サルは木から落ちてもサルだが、政治家は選挙に落ちたらただの人」。たしかに政治家はポストで仕事をするし、他人に評価される。だから、国会議員になったら大臣になりたいし、あれくらいの仕事は自分にだってできると思っている。

 一方、総理大臣の心理を推測する。私も一自治体の長になった時感じたが、人事が一番面白い。この面白いという表現は品がないが、この際お許しいただきたい。自分の権限で、あいつを喜ばせてやろうとか、あの人物の能力を発揮させてやろうとか、人事で相手の気持ちを買うことは自由自在だ。
だから総理大臣になったらこの権力の威力、人事の快感には勝てないのではないか。一方、国会議員にしてみたら、人事が固定化すれば不満がたまる。アヤツが何でこのオレより脚光を浴びるのだ、という不満が蓄積してくる。

 短期間の内閣改造はそのためのガス抜きにすぎない。中央政府がそうだから、地方政府も右へ倣えで、短期間の人事異動を繰り返す。この政治風土はよくないと大方の人は気がついているのだが、もうこれだけ染みついた習慣は何とも致し方なしだ。

 視点は異なるが、各種審議会やあのNHKの人事を見ても、安倍さんは、蜜の味がする権力の罠にはまっている。
 一方勝ちのリアクションは遠からずやってくるだろう。

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