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3月2日 からくり人形

3月2日 からくり人形

パーマリンク 2014/03/07 07:44:36 著者: y-ishida2 メール

映画「鑑定士と顔のない依頼人」鑑賞。
なぜこの映画を見る気になったかというと、「からくり人形」が登場すると聞いたからだったが、テーマ自身面白かった。
テレビの「なんでも鑑定団」はなかなか興味引かれるストーリーテラーだ。以前、台湾の故宮博物院へ行った時、「古物霊あり」という言葉を教えられた。古い文物には一種の霊があり、その価値を知る人の手元へ必ず吸い寄せられるように落ち着くという思想。北京から台北へ中国4000年の歴史を持つ文物が移動した物語を表していた。テレビの「なんでも鑑定団」やこの映画のオークションのように、審美眼や時間の淘汰の試練を経た価値を持つ骨董品に値段をつけるのはいかがなものかと思うが、そこは経済学という分野に妥協しよう。
しかしながら、この骨董世界には金銭には表現不可能な価値観が決定的なファクターになることが重要だ。そこに反面、人の心の不確実さみたいな不安定のフィクションが入り込む。
言葉を変えると、詐欺師的なキャラクターも十分入り込む。それはそれで、面白さもある。事実、私の周りの骨董愛好者の話を聞いて、さて、どこまで信用していいのやら、私は時として聞き流す。
この映画がそもそも数値では表現出来ない価値観を有し、虚構で成り立つ骨董世界を舞台にして、男女の恋愛感情も絡めたミステリー仕立てで、最後のどんでん返しまでのストーリーを盛り上げるのは、誠に当を得た発想と感心した。ミステリーとどんでん返しはこの世の常ではないか!
さて話を初めに戻し、からくりについて述べる。主人公の天才鑑定士バージルを嵌めていく詐欺師を演じる脇役の青年技術者が、顔のない依頼人(主人公とこの謎の女性との恋に落ちる過程もからくりである)宅で拾う部品から、からくり人形を組み立てて行く過程に私は関心を持った。このからくり人形はオートマータと呼ぶ自動仕掛けの笛吹き人形であり、作者は18世紀フランスの天才的技術者ヴォカーソンの作であった。当時、フランス、ドイツなどヨーロッパ各地にオートマータの技術は驚くべき域に達したが、時を同じくして、わが国のからくり人形もほとんど同じくらいのレベルに達していた。西洋のオートマータが、貴族社会を中心の文化であったのに比べわが国のそれは、座敷からくり、興業からくりもあったものの、主流は祭礼での神への奉納として発達普及したものだった。
現在でも私の故郷犬山祭には30体以上のからくり人形が祭のときには元気に動き、「鑑定士と顔のない依頼人」に出てくる18世紀フランスのからくり人形となんら遜色のない動きを見せる。
この映画で、主人公の鑑定士が笛吹き人形の部品を拾って、宝物でも見つけたような驚きを示す場面があるが、犬山祭の凄さを改めて再認識した映画であった。

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