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8月から至学館大学にある伊達コミュニケーション研究所の所長になり、「日本の祭」に取り組む。私は今まで、政治家という行動者として生きてきたから、大学の研究所と言え単なる書斎派では決してない。あくまで私の目指すのは、祭りの実践を通して社会への働きかけという行動にある。
遠い先の目標は、日本各地に存在する神社を中心とする伝統的な祭りを地域のコミュニティーの中心に位置づけ、列島の津々浦々祭りの持つ力によって、ふるさとを再生させることである。今こそローカリズムの実践だ。 そのための当面の目標として、まず今年中に、愛知・三重・岐阜3県の祭関係者を集めて今秋11月17日、シンポジュームを開く。基調講演は哲学者の中沢新一さん。パネラーは、京都祇園祭の吉田会長、学術宗教界を代表して国学院大学の茂木栄さん、文化庁から菊池調査官を決めた。このシンポジュームで一つの方向性を見出したい。そのための2回目の勉強会を今日開いた。
予め、祭関係者には祭と神社の関係について、祭りを維持するうえでの苦労、今後の問題点などの質問を出しておいて、それに答えてもらうという形で進行した。さすがに祭関係者は神社との関係、神や祭礼の意識は明確だった。祭関係者の発言の後、オブザーバーで出席依頼した識者の発言も交えて今日の議論を整理すると、今後この研究会の論点が、おぼろげながら見えてきた。
1 祭を自分たちのコミュニティーを固めて行く共同体形成、いわば内輪の論理に重心を置くのか、観光など祭を経済行為と考え外向きの論理に傾くのか。
2 祭を宗教と捉えるのか、宗教ではなく日本人の習俗・伝統文化と考えていくのか。
3 大都会の信仰心などかけらもない祭が最近どんどん若者を集め、都市の活性化に役立っているが、単なるイベントとしての祭をどう考えるか。
今日の出席者の中には、ささやかでも、世に知られなくても、自分たちだけでシッカリ伝統を守ってやっておればいいという論と、どんどん観光客が来るような工夫をしなければ、先細りになって消滅してしまうだろう言う論に分かれたような気がする。
私は、日本の祭の原点は先祖崇拝と自然への畏敬の念の二本柱で共同体を形成してきたのだから、祭りの主体者としては観光客や経済行為はほっておけばいいと考える。が、この個人的な見解は少々封印し、もう少し皆さんの意見に耳を傾けながら研究会の意思統一を図りたい。しかし、大学の研究所と言え、ただかくかくしかじかの意見がありますという考え方の並列ではなく、私に任された研究所なので一定の方向性を出し、行政やマスコミに提言したいと考えている。
当面11月のシンポジュームに集中して、考え方を絞っていく。