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選挙の際、有権者は何を基準に投票するのか、最近の経験した選挙を顧みながら、自分なりに考えてみる。
というのは今日シリーズでやっているネット対談の相手に美濃加茂市長の藤井浩人さんを選んだ。(「石田芳弘地域主権」をネット検索しご覧いただきたい)美濃加茂の前市長渡邊直由さんとは友人であったので、現市長藤井さんとは以前から面識はあった。が、渡邊さんから、自分は体調の都合で辞めるが、後継に藤井君を指名したいと聞いた時、私は即座に、いかに何でも29歳では市長職は無理ではないか、と答えたことを思い出す。 結果は藤井君がベテラン市議経験者のライバルに圧勝し当選した。29歳の藤井さんは全国最年少の市長と大々的にメディアで扱われ、今や地方政治の世界ではヒーローとなり、美濃加茂市の紙価を高めた観がある。
が、私は周りのあまりの騒ぎ振りに全国最年少という事が一体何の意味がありますかと世間に反論したい気持ちでいた。
今日90分ほど対談、彼の言葉や考えを観察した。己の過去や経験、若かったころの記憶を思い出し、なんだか今日の対談は格別な思いに捕らわれた。立候補にあたって彼の純な動機、政治に対する真直ぐな姿勢が伝わってきて、自分の人生がもう一度戻ってきた様な晴れやかな気持ちにすらなった。市長職、政治の世界と言うものはそう単純なものではない。想定外の出来事の連続である。批判、裏切り、豹変がついて回る陰湿で嫌なオトナの世界でもある。彼のこれからの行く手には分厚く厳しい壁が待ち受けているに違いない。しかし、それを承知で、美濃加茂市民は彼を選んだのは、やはりあの純真さと一途な志を観たからであろう。
さて一方、先週私は大治町長選挙の応援に行った。応援したのは豊田さかえさんという女性だ。ライバルは村上まさお55歳自民系、広田幸治30歳維新推薦。3人とも町会議員経験者の三つ巴だった。結果は村上氏が当選し、豊田さんは意外に票が伸びず惨敗した。 私が応援する気になったのは、愛知県内に、開明的な女性運動をするグループがあり、「女性の首長を作る会」が結成され、その人たちの要請によるものだった。
私はそろそろわが国も、女性の政界進出を進めなければならないという論者だ。東京財団の研究員であった時、ヨーロッパ諸国の自治体を見学し、女性政治家の多いことに驚いた。わが国は、政界のみならず、経済界でも女性のリーダーが少なすぎる。そんな後進性に一石投じてみたく、応援した。
が、惨敗。原因を考えてみたが、豊田さんの市議四期、63歳という経験が、逆にハンディーになったのではないか。大治町というような小さい選挙区では、住民は候補者のすべてを知り尽くしている。豊田さんの訴えた女性ならではの政治の視点を住民は理屈では理解したかもしれないが、人間に新鮮味がなかったのではないのだろうか。未知なる魅力に欠けていたのではないだろうか。
私はかねてから、メディアが候補者の年齢を明記することに疑問を呈してきた。しかしながら、年齢を知ることではなく、若さというのは新鮮さと同義語であり、また未知の夢を見させてくれるところに有権者は惹かれるのかもしれない。
シニカルに言えば、不条理の条理と言えないことも無い。