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城下町を再生するため犬山市長の時立ち上げた「まちづくり会社」の総会で犬山城の歴史を学ぶ機会があった。講演者は「財団法人犬山城白帝文庫」館長の松田之利さん。
犬山城下町と犬山祭と犬山城の三位一体は卓越した文化遺産であり、オンリーワンの空間だと思っている。それぞれがお互いに支え合い共鳴し合っているのだが、やはり何と言っても城の存在が精神的支柱になっている。
学者である松田さんの話は史実と文献に基づく説得力のある話だった。
一方この町に生まれ、この町に育ち、市長を仕事としてきた私には文献とは次元を異にする視座がある。信仰心にも似た思いがある。
日本の城は天守閣が中心であり、「天守」は「天主」とも書いたように文字通り天体の中心を意味した。日本の城は北天に輝く北斗七星を背後に、南方に町を広げるコスモロジー(宇宙観)で作られている。だから天主は統治の中心である以上に宗教的求心力を持つのだ。丁度ヨーロッパの町が教会を中心に形成されるように日本の城下町は天主が町づくりの精神性を発揮する。犬山の場合はその天主の下に氏神たる針綱神社があり、これが犬山祭の祭神となっている。だからこの三者は不離一体のものであり犬山のアイデンティティーを形成している。
それは、氏神との邂逅の場たる祭に懸ける住民の思いに現れる。400年近く営々として受け継いできた祭という無形の習俗はこの町に生きる者の心身に染みついている。われわれ犬山城下町の町衆は一年を祭中心の暦で生活する。
私は、この城下町を100年先200年先にも持続できる町にするには今何をしなければならないかを考えている。特に21世紀に入って加速してきたグローバルエコノミーと少子高齢化の歴史の大波に対し、どう向き合っていったらいいのか、今打つべき一手は何かを模索している。
歴史に学ぶことだ。今日のようにこの町に関する歴史を知り、未来を考えることだ。