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映画「リンカーン」を観る。この映画から、日本にとって最も親しい国、しかしその付き合い方において最も緊張しなければいけない国、アメリカについて考えた。最も親しいという意味は、日米安保条約のこと。国の防衛をアメリカに依存するということである。沖縄のことを考える時など、私には日本はアメリカの属国ではないかとさえ思えてしまう。日本は主権国家として、アメリカと対等に付き合っているとは言い難い。また、アメリカ発のいわゆるグローバルスタンダードという経済基準だ。このボーダレス文明が日本固有の文化を破壊し続ける。アメリカという超大国、覇権国家との対等の付き合いの難しさは我が国最大の難問ではないのか。
されど今日の「リンカーン」にアメリカという国の、一方のアイデンティティーみたいなものを観た。現在のアメリカ大統領オバマは最初の黒人大統領であるが、そのオバマを生んだのはリンカーンだ。当時アメリカで、しかも内戦の真っただ中、黒人の奴隷解放をやってのけたリンカーンとそれは支持したアメリカ連邦議会に大きな感動を覚えた。法の下、すべての国民は自由と平等を享受する。差別されることは決してない。それを守るのが国家であるという民主主義の原理原則をリンカーンは何処までも貫き通す。原理原則が揺らぐことがないから、議員との駆け引き、戦争の終結をも乗り越え、最後は暗殺される。この作品の監督スピルバーグは言っている「この映画にはリンカーンに対する我々の愛と尊敬が込められている」と。この映画製作にかかわったすべてのアメリカ人は、このリンカーンの唱えたアメリカ合衆国の理念をきっちり理解しているという気がしたくらい密度の高い出来映えだった。
先日ボストンでテロがあった直後、オバマ大統領の追悼演説をテレビで観た。国家と国民の関係が実に分かり易い、強烈なメッセージだった。アメリカにはリンカーンの血が流れている。
このアメリカという国と対等に付き合うという目標は高い。日本は我々固有の尊厳を失わず、且、謙虚で懸命な努力がいる。