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土岐市のライオンズクラブから講演を依頼された。メインストリートが、いわゆるシャッター通りになってしまったので何か参考意見を喋ってくれという。「まちづくりについて私の体験談」というテーマで「犬山城下町の再生物語」を語った。
主張の核心を今こそローカリズム、すなわち経済のグローバリズム批判、「ふるさと主義」の持論に置いた。
事前に土岐市のことを少々調べたが、なんと土岐市を訪れる最大の目玉施設は、あのアウトレットショッピングモールである。そして、土岐市の商店街の人は、あのアウトレットができてから商店街が寂しくなったことを証言している。ここに土岐市の街づくりの戦略ミスがある。その当時は良かれと思った選択が、しばらくするとマイナスの結果を招く例だ。あの類の郊外型大型ショッピング施設は、地域貢献はてんから頭にない。資本の論理優先で、まず20年くらいのスパンで、利潤が上がればいいという計算でスタートする。かつアウトレットという商法は、ブランド信仰の罠にはめるものだ。モノづくりの技術とコストカットが驚異的に進み、作りすぎた余分な商品を処分するための安売りにすぎない。20世紀末、日本経済の絶頂期消費文明の遺物であると私は思っている。
そんな施設がそのまちの一番の目玉になっていていいのかという私の主張を多少婉曲に論じたが、果たして伝わったか疑問を残した。
街のにぎわいを作るために、観光客が何人に増えたなどと言う一時的に粉飾可能な数字にこだわることはない。まちというものは、自然と生活と経済の包括的なバランスの中に持続可能な発展を見出すべきである。
講演後、酒席での懇談会に呼ばれた。あんたの話は少々抽象的だと指摘する人がいたが、具体策は皆さんで考えることこそが大切だと答えた。心底そう思う。