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映画「レ・ミレザブル」鑑賞。
以前、この作品を作った監督トム・フーバーの「英国王のスピーチ」も観たが、名画だった。また今年は、話題になった「あなたへ」と「北のカナリア」も観た。この二作とも夫婦やら家族やらの人間愛に泣かされた。が、今日の「レ・ミレザブル」は、質の違う神への愛に涙が出てきた。邦画二作には技術的に泣かされたが、「レ・ミレザブル」には突き上げてくる強い何かに目頭を押さえた。つくづくキリスト教徒や西欧文明の基層にある宗教の強さみたいなものを感じた。
今、第二次世界大戦後アメリカ占領下の日本を書き、日米両国でベストセラーになったジョン・ダワーのドキュメント「敗北を抱きしめて」を読んでいる。それまで鬼畜米英だとか一億総火の玉だとか言っていた日本人が、敗戦するや、即おとなしい羊の群れのように民主主義をくれたアメリカ様になって行く事実が実にリアルに記述されている。この日本人の変わり身の早さ、単純さは、なんとなく宗教観に根差しているのではないだろうか。日本民族の宗教観は多神教であり神仏習合、八百万の神だ。これを日本人は、とても柔軟でいいように解釈しているが、今日は何となく一神教の強さに打たれ、多神教のいい加減さを感じた。
というのも、このところの衆議院選挙の結果を受け、日本中の雰囲気が一気に、自民党一色になりそうな気がしているからだ。この傾向は結局、終戦直後の変わり身と一緒ではないか。
私の関心は、政治と宗教は一体であるということ。そもそも古代社会では、宗教のリーダーが即政治をやった。今は政教分離だとは言うものの、民族のアイデンティティーは宗教観から抜け出せない。
われわれ多神教の信念はとても変わり身が早く、柔軟性に富む。