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第46回衆議院選挙が始まった。
12の政党が乱立。メディアには「百家争鳴」という言葉が見られる。この言葉を聞いて「諸氏百家」という言葉を思い出した。「諸子百家」とは中国の春秋戦国時代の歴史であり、天下が乱れに乱れ、われもわれもの動乱期をイメージする。今の日本を映した選挙なのか。
各政党の主張を克明に聞いた。マスコミも国民に分かりやすいように報道する姿勢はうかがえるが、なかなか政党間の主張の違いを明確に伝えきれずにいる。無理もない、政党自体が即席で、辻褄合わせのところもある。
争点を絞ると
1 消費税の是非 これは社会保障改革と財政改革
2 エネルギィー問題 原発推進是か非か
3 経済問題 デフレ脱却と成長政策およびTPP
という論点だと思う。
どれ一つとっても大きなテーマだが、あえてTPPを掘り下げて考えてみたい。というのは、実はTPP問題の底流に流れる思想は、グローバル資本主義であると見る。グローバル資本主義を安易に受け入れることは、我が国の固有の規範、習俗のようなもの、われわれの社会が堆積している倫理的なエートスがなし崩しにされ、アイデンティティーが崩壊する危険性を孕む。国家というのは経済力や効率性だけではない。固有の文化を失った国家は、よって立つ基盤を喪失する。国家は外敵に滅ぼされるのではなく、内部から崩壊する。私は、このTPP問題こそ結論を急ぐべきではなく、極めて慎重を要する国家の存亡をかけたテーマと考える。
それにつけてもこのグローバリズムというモンスターを阻止するためには、一種のナショナリズムみたいなものが必要なのではないかと最近考えるようになった。あの「維新の会」の石原慎太郎のような領土問題で主張するナショナリズムとは異質の次元で、強烈に日本固有の伝統文化を主張することが、この際重要と考える。
それは私の持論であるローカリズムであり、和辻哲郎の説く「風土」である。日本列島の山川草木に返るナショナリズムである。