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県議会議員になって10年ぐらいたった頃、私は選挙で選ばれた代表として、もっと具体的直接的に行政の仕事をしたい、やらねばならぬ仕事の予算を作ってみたいという思いが募ってきて、犬山市長になりました。犬山市長時代、議会のたびごとに、市会議員の質問を聞き、この人たちは能力がありながら、お気楽な評論ばかりで、言ったことに対して責任のないのはよくないなあといつも思ったものです。
日本以外の先進国は違います。地方議会ははるかに多様性に富んでいます。犬山市長時代アメリカの自治体議会を見学しましたし、東京財団の研究員としてヨーロッパの地方議会を視察、研究しましたが、市民代表である議員が予算を作ったり、行政の執行者になったりすることは常識です。この制度を専門用語で「議員内閣制」と呼びます。日本の地方議会を企業に例えると、議員はちょうど株主が株主総会で発言するようなものです。本来の議員や議会は会社の経営や統治を考える立場です。株主ではなくて、執行役員であり、重役会議を務めるべきです。チェック&バランスからマネージメント&ガバナンスに議会の機能を変えなければなりません。実はこの改革を阻んでいるのが、ほかでもない中央集権の法律なのです。
わが国の地方議会は典型的な、「ガラパゴス」なのです。
一方、国政は議院内閣制です。私は政権交代した民主党内閣のドラマに参加することができました。野党であった民主党が与党になり民主党の議員が予算をつくり、国政を執行する現実を目の当たりにし、選挙で選ばれた議員のやるべき仕事の意味を再確認しました。
選挙を経て選ばれた議員が予算を作り、行政の執行者となる議員内閣制こそが民主主義を成熟させる、というのが私の希望なのです。そしてその希望を実現できる自治体がとにかく一つでもいい出現したら、日本中の地方議会が一気に流れを変えるのではないかという予感を持ちますし、それが私の死んでもやり遂げたい仕事なのです。