五条川。晩秋の色として、目立たないが、
川面いっぱいにまで拡がったヨシ(葦)もある。
5年ほど前に、通水をよくするために
川底に溜まった土砂をブルドーザーで取り除いた。
その後一夏ごとに、ヨシ(葦)が復活し、毎年拡がる。
地下茎はたくましく、ひと夏に5、6㍍以上も伸びて、
2~30㌢ごとに根を下ろす。
水の流れの弱いところがつぎつぎとヨシ原になる。
暑さが厳しい夏ほど 勢いが強まるように思える。
根元には泥が溜まり水の流れをせき止める。
土砂がたまるだけでなく、心無いだれかが放り込んだ家庭ゴミの類いも貯まり異臭を放ち、美観を損ねる面もあるが・・。
とくによく放り込まれる箇所には、五条川沿いの家々の家族がいっしょに川面に入って、ヨシ(葦)の除草作業を何年か置きにやっている。
ヨシ(葦)の群生したところは、
旺盛な成長力が汚泥の中の分解をすすめてくれるようで、
生活汚水が流れ込んでも、ヨシ原がかなり浄化してくれる。
ここを隠れ場所にするのか、巻貝や小さな生き物たちが集まる。
課外学習で小学生らが 生きもの調査に来てくれたりする。
水鳥たちも よく来てくれる。
自分が子どものころ、五条川は、
近所の子どもの、格好の水遊び場所だった・。
やがてどの小学校にも25㍍プールが設置される時代になる。
伊勢湾台風のころに、
サクラ並木の両岸にはフェンス、柵が張られ、
「よいこはここで遊ばない!建設省・○○市」という看板が立ち並んだ。
「泳ぐ」「自分の身体は泳ぎで守る」のが当たり前と思っている。
川の中で水遊びをする中で、泳ぎも覚えた。
しかし その泳ぎは、流れも、うねり・波も無い「プール」という大浴場で、学校の先生に教えてもらう時代へ変わってしまった。
幼な子も子どもも、おとなさえも、
恵の水に親しむ場所から締め出されてしまっていた。
その「よい子はここで遊ばない!」の看板は、このごろとんと見かけなくなった。
この国の河川の管理方針、子育て、教育の時流が右往左往しているからか・・。ビオトープとか、川づくりとかが 声高に唱えられたりして。
五条川は サクラの花見だけでなく、川原で水に親しむところへ復活してやりたい。
心配なことがひとつある・・。
たとえヨシ(葦)の群生しているところでも、生活ゴミを放り込まないで欲しい。
それとびんや缶を投げ込まないで!!
子どもたちが 安全に安心して川原あそびに興じられるようにしてやりたいから・・。
五条川の恵み、水の恵みを 川原の中からも会得してほしいから・・。