機会を得て、トヨタ自動車工場視察研修会に参加してきた。
トヨタの工場のあちらこちらで、「よい品よい考え」の緑色カンバンが目につく。創業者豊田佐吉のことばであったと記憶する。
1950(S25)年トヨタ自工社長に就任した石田退三は、後年“これがトヨタの経営憲法である”と説いたと聞く。よい品物をつくれ。自動車は耐久力が大事だから、耐久力のあるクルマをつくれ。値段が高くてはなんにもならないから、コストダウンを真剣に考えていこう、とも。
創業者豊田佐吉はまた、いまでいう電脳自動化機械も始めた。
機械そのものに善し悪しを判断させる装置を組み込んで「自働化」するもの。
ニンベンのついた自働化の生産方式だと説明を受け、組み立てラインに混流生産で、前後が車種も色もさまざまな車が(見学した工場では2ラインで日当たり1300台ペースで)作られる現場に、圧倒される。
「必要なものを必要なときに必要なだけつくる」生産哲学が、1937(S12)年自動車を創業した豊田喜一郎の提唱であり、大野耐一時代に構築完成するトヨタ生産方式は、日々の絶え間ないカイゼンがきょうもつづく。その進化のど真ん中を通り抜けた一日だった。
かって30年も前だがIBMワトソン研究所での研修会で受けた「THINK,THINK,THINK考える」にも通ずる衝撃波に押されて、きょうはトヨタの「よい品よい考え」を考えさせられる。
※トヨタ会館エントランスホールで出迎えてくれたトヨタ・パートナーロボット