No. 28「手打ち蕎麦の力で、健やかな幸せを知らせたい」

今、旬の女性 そば打ち教室「燕楽」席亭
青山 正子さん
経済的に恵まれた豊かな家庭の次女として誕生。
昭和20〜30年頃の女性の地位は低く、特に経済力を持たない主婦たちを見て、自分は職業を持とうと考えていた。

大学卒業後、公立高校の教師になった。
やがて同じ教師をしていた夫と結婚。三人の子どもに恵まれた。


まだ、子育てしながら働くということは大変な時代だったが、保育園、知人、兄弟に助けられながら、続けてきた。


その頃を振り返ると、きれいな景色も何もかも気付かずに、脇目も振らず走っていた。
娘も嫁ぎ、定年も近くになると、このまま続けてきた人生を急に停める不安も感じるようになった。

もともとそばは大好きだった。健康のためにも一日一食はたべていたので、自分でなんとか上手に打てるようになりたい。
働きながらそば打ち教室に通うようになった。
そのうち いつか自分でもそば打ちを教えて普及していけたらと、夢がふくらんできた。
そばは高血圧、動脈硬化の予防に効果があるとされているルチンが多量にふくまれている。

そんな様子を見ていた長男が、自分もやってみると言い出した。
何年か後、こうして夢が実現した。
「蕎麦食で健康になろう会」蕎麦倶楽部「燕楽(えんらく)」が立ち上がった。

今までの教師生活とあまりにもかけ離れた第二の人生に、今度はとまどう日々が続いた。
私には強すぎたかと、自信もなくしていた。
あくまでも「そば打ち教室」でそばを打つことを教えたいが、そのためには一度食べてみてという意味で、自宅で一日一客程度の「そば懐石」を味わってもらっている。


すてきな器や料理に心をこめて おもてなしをすることを心がけているつもりだが、まだまだ修行が足りないので失敗もある。
そんなとき「おいしかった」とか、「一度そば打ちをやってみたいわ」と声がかかると、うれしさでいっぱいになる、と言われる。

自宅でもてなす「そば懐石」は、あくまでも「そばを知ってもらいたい」もので、「みなさんに、自分で食するそばは自分で打ってほしい。多くの人に本物のそばの味を広めていけたら・・」というのが、さらなる夢だそうです。

大口町老人福祉センター・憩い処「さくら屋」で週一回、そば打ち定食を提供し、そば打ち体験指導もされている。

いまは息子さんの協力が必要だが、近い将来には別々に働いていけたら、と語られていた。
やさしくおだやかで上品な女性(ひと)。がんばってください。